2025年7月場所個別評価 大青山

 今場所は西十両6枚目だったが10勝5敗という成績だった。黒星発進も翌日からは連勝し、前半戦は7勝1敗で折り返した。そして後半戦は10日目に勝ち越しを決めると13日目は栃大海を上手投げで破り、自身初の二桁勝利となった。

 内容に関しては押し相撲と右四つに組み止める相撲で白星を挙げていた。また新十両から6場所目であり、十両の土俵に慣れてきたのも好成績の要因である。好内容だったのは8日目の湘南乃海戦と10日目の竜電戦である。湘南乃海戦は当たってすぐに湘南乃海が右へ動いて上手を取った。しかし左を深く差して下手を取ると右は前廻しを取って懐に入り、一気に寄り切った。湘南乃海は巨体の割にはスピードも持っているが、しっかりと速さに対応した。体が勝手に反応しているという感じであり、稽古も十分のようである。竜電戦は当たってすぐに左は差したものの右は差された。しかし巻き替えて右をこじ入れ、両差しとなった。下手は取れず、竜電に極められたものの右から振り回しての掬い投げで竜電を土俵の外に出した。竜電はこういった負け方はほとんどなく、身体能力の高さを見せつけた。やはり四つに組み止めると強さを発揮する。

 一方負けた相撲は速い相撲を取られての黒星が多かった。課題が出たのは12日目の錦木戦と千秋楽の錦富士戦である。錦木戦は当たってすぐに二本差すも錦木に右から抱えられた後錦木が右を巻き替え、再度巻き替えようとしたところで一気に寄り詰められ、そのまま寄り切られた。経験の差が出た一番だった。錦富士戦は錦富士のぶちかましからの突き押しに上体が起き、成す術なく土俵を割った。大青山は身長192センチ、体重164キロの巨体であり、対戦相手は組み止められない相撲や早い相撲を取ってくる。そういったことを見越して相撲を取るだけでなく、稽古から取り組んでいく必要がある。また幕内に向けては攻め込まれても回り込むなどして粘りのある相撲を取ることが求められる。

 来場所の新入幕は微妙なところである。しかし入幕できなくても初の十両上位の番付となる。能力が高い一方、上手い相撲が取れるタイプではなく、前に出る相撲と普段からの稽古が大事になってきそうである。よって目先のことは考えず、前に出て負ける分には仕方がないくらいの気持ちで相撲を取って欲しい。