これぞ理想の横綱! 照ノ富士 2017年3月場所14日目の琴奨菊戦 相撲と変化までの過程
大関復帰が懸かった琴奨菊相手に立ち合い変化で勝った一番である。立ち合いで向かってきた琴奨菊の後頭部を押さえながら右に大きく動くと琴奨菊はそのままの勢いで土俵の向こうへ落ちていった。これで琴奨菊は6敗目となり、場所後の大関復帰が叶わなくなった。そして当たらずの変化ということで取組後は館内から大ブーイングが巻き起こった。
伏線はあった。この場所は9日目に勝ち越しを決め、前日は鶴竜に勝って1敗を守った。しかしこの取組で鶴竜に外掛けを掛けられた時に左膝を痛めた。そして勝ち残りの土俵下でも痛む膝がみるみる腫れ上がっていった。
するとその後の取組で全勝で優勝争いのトップだった稀勢の里が日馬富士に敗れて1敗となった。また取組中に左の大胸筋の大怪我を負った。自身は膝を痛め、一人で歩くのもつらかったが、報道陣は一斉に稀勢の里のもとへ走っていった。もし稀勢の里が休場したら優勝が決まるということで照ノ富士は我慢を決め込んだ。
帰ってから「どうしよう・・・」と駿馬に相談した。そして「一旦様子を見て、それでもダメだったら、明日は最悪、変化してみるしかないかな」と思い、眠りについた。
翌朝、起きた時は脚は全くと言っていいほど動かなくなっていた。稽古場に下りて、今度は安美錦に相談した。安美錦は「琴奨菊関は当たりが強いから力を逃すしかないかもね」と言うと「はい、まともには受けられないですからね・・・」と答えた。琴奨菊の星勘定は分かっていたが、自身も優勝が懸かっている。「やっぱりここは、立ち合い変化だ。何が何でも優勝しないと」。照ノ富士はそう考え、腹をくくった。
続く
最近のコメント