2021年7月場所個別評価 逸ノ城

 西前頭2枚目であり、2年ぶりとなる平幕上位の番付となったが10勝5敗の好成績だった。前半戦は上位力士との対戦が続く中、5勝3敗で折り返した。そして2大関を破るなど存在感を示した。後半戦は連勝し、11日目に勝ち越しを決めた。12日目からは連敗するも終盤は連勝し、白星を2桁に乗せた。

 内容に関しては得意の右四つに組み止める相撲で白星を挙げていたが押し出しで2番勝っているように廻しにこだわらず、前に出る相撲を取っていた。また立ち合いに関しては右を差しに行くのがほとんどだが、今場所はいろいろ工夫をしていた。張り手をかますこともあれば負けはしたものの高安戦では突き放す立ち合いを見せた。

 2日目の貴景勝戦は強烈な体当たりで相手を病院送りにした。7日目の正代戦は立ち合いから左上手をがっちり掴むと右も差し、万全の体勢で寄り切った。10日目の大栄翔戦と11日目の隆の勝戦はいずれも前に出る圧力の強さが持ち味の力士だが、相手の出足を止め、白星を手にした。一方負けた相撲に関しては白鵬戦は立ち合いで左上手を取るも切られてしまった。照ノ富士戦は完敗だった。そして後半戦は北勝富士と豊昇龍に負けたがどちらも相手を褒めたい内容だった。いずれにしても場所を通して自分の相撲を取り切ったと言える。体調が上向いているだけでなく、気力の充実ぶりもうかがえた。

 9月場所は西小結となったが、勝ち越しではなく、2桁勝利を期待したい。今場所は高安が負け越し、大関獲りが振り出しに戻った。御嶽海も勝ち越すのが精一杯である。ここで2桁勝利をマークすれば大関昇進への気運が高まってくる。何より入門から僅か1年で関脇まで昇進した力士である。能力が無い訳がない。今場所のような前に出る相撲を期待したい。そしてできれば白鵬、照ノ富士のどちらかに勝ち、アピールしたいところだ。