元大関の肩書を嫌う男! 正代 2021年7月場所14日目 白鵬戦
白鵬が最後の優勝を全勝で遂げた場所である。相撲は最後の仕切りで白鵬が仕切り線から大きく下がり、東の徳俵付近で構える奇策に出た。その後お互いが見合うような形でぶつかると白鵬が右から張り手を見せ、再び互いに見合う形となった。そして白鵬が攻防の中で機を見て右を差すとそのまま寄り、最後は浴びせ倒した。
後に白鵬は語る。「頭の中でシミュレーションしても、どうやっても正代には勝てない。だから立ち合いで当たらないことを選んだ」
正代は立ち合いで駆け引きするタイプの力士ではない。常に相手の上体を起こす立ち合いを見せる力士である。また白鵬は晩年であり、膝はボロボロである。よって勝つには正代の立ち合いの踏み込みが弱くなるのをアテにするしかなくなる。それに加えて何が何でも優勝したい場所であり、徳俵付近での仕切りも批判覚悟であり、腹をくくっていた。
逆を言えば正代の立ち合いを警戒していたことの裏返しである。正代は立ち合いに関しては徹底してこだわってきた。しかし腰高の立ち合いは時に批判にさらされた。それでも正代は「僕がセオリー通りの立ち合いをやったところで、ここまでの成績はなかったと思う。あの相撲だったから、今の僕があるのかなと。変えたところで形が崩れる可能性もありましたし」と語っている。
白鵬の類を見ない立ち合いばかりがクローズアップされたが、実は正代の当たりは凄いというのを白鵬が証明したのが何とも面白いところだ。
続く
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