2024年11月場所個別評価 栃大海
今場所は再十両の場所であり、西十両12枚目だったが10勝5敗の好成績だった。7日目までは6勝1敗と白星が先行したが8日目からは3連敗となった。しかし翌日からは再度連勝し、14日目は友風を押し出しで破り、初の二桁勝利となる10勝目を挙げた。
内容に関してはもろ手突きからののど輪押しが効いていた。2日目の琴栄峰戦はもろ手突きから左のど輪で相手を後退させると一気に押し出した。6日目の大翔鵬戦はもろ手から右のど輪で相手の上体を起こすとそのまま突き出した。そして14日目の友風戦は同じくもろ手から細かく突っ張ると右のど輪で一気に後退させ、そのまま押し出した。体重が7キロ増え、立ち合いの圧力が増したことが好調の要因のようである。身長193センチの長身であり、リーチが長いのでのど輪押しは今後武器となりそうだ。
一方負けた相撲に関しては4日目の欧勝海戦が少し気になった。相手に左前廻しを取られたところで引き、そこに付け込まれて押し出された。私的には廻しを取られたところで引くのではなく、おっつけるなどして我慢して欲しいと思っている。すぐに引く悪癖があり、対戦相手も引くのを待っているような相撲を取っている。背が高く、懐に入られやすい体型なので仕方がない部分もあるのだが、もう少し辛抱すれば局面が変わる可能性もある。粘り強い相撲を取ることが今後の課題となりそうだ。
来場所は自己最高位を更新し、東十両7枚目となった。再度の二桁勝利を期待したい。先場所限りで同じ春日野部屋所属の碧山が引退し、入れ替わりで再十両となったことで89年続いている関取継続消滅の危機を救った。幕下には元十両の栃丸や栃武蔵などが控えているものの、素質や能力を見ればやはり栃大海にかかる期待は大きい。また今場所のような相撲が取れれば十両定着は勿論、新入幕に向けても楽しみが広がってくる。伝統のある部屋なので大変だとは思うが、部屋を引っ張っていく存在は他におらず、自分が部屋を背負って立つくらいの気持ちを持って相撲を取って欲しい。
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