2024年11月場所個別評価 阿武剋
今場所は東前頭15枚目であり、入幕2場所目となったが9勝6敗で勝ち越した。6連勝スタートを切り、前半戦は首位タイの7勝1敗で折り返した。しかし後半戦は11日目に勝ち越したものの星が伸びず、9勝で場所を終えた。
内容に関しては右四つの相撲を中心に上手さとしぶとさを見せた。初日の錦富士戦は差し手争いで負け、相手得意の左四つに組まれた。しかし右からおっつけながら右前廻しを取ると形勢が逆転し、最後は錦富士が引いたところを押し出した。3日目の獅司戦は右四つがっぷりに組み合っての熱戦となった。そして阿武剋の寄りを獅司がこらえたところで廻し待ったとなった。再開後は獅司が寄ったところで阿武剋が左を巻き替えた。ここがポイントだった。獅司の寄りと投げをこらえると最後は左からの上手投げで這わせた。取組後は館内から大きな拍手が上がっていた。若手同士の力勝負は見応えがあった。そして14日目の高安戦は当たってすぐに相手得意の左四つに組まれた。その後高安は右からの上手投げで勝負を付けようとしたものの阿武剋は右足で踏ん張ってこらえた。そして高安の左の腰に密着すると高安の右上手が切れ、最後は押し出した。足腰の柔らかさを発揮した一番だった。
一方負けた相撲に関しては出足負けや経験の差が出た内容が多かった。いずれも稽古と本場所の土俵を積んでいけば克服できそうであり、力が付けば上位陣にとって厄介な存在となりそうだ。序盤の連勝にも笑顔はなかったようである。そして勝ち越しを決めた11日目は「自分のやることをやって、稽古をしっかりやって自分を信じて土俵に立つ」とのコメントに大物感が漂う。
来場所も怪我さえなければ勝ち越せそうだ。やはり立ち合いの当たりが課題である。技量は持っているが、若隆景戦のように技を出せない流れになると辛くなるので立ち合いの強化は不可欠である。現時点では本場所以上に稽古で力を付ける方が大事かもしれない。
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