逃げない相撲を取る男! 大栄翔 照ノ富士キラー

 対照ノ富士戦は7勝9敗である。また二場所は不戦勝であり、不戦勝を除けば5勝9敗となる。そして最初の対戦は照ノ富士が勝っているが、当時の照ノ富士は序二段に番付を下げる前であり、2回目以降の対戦は令和に入ってからである。相撲を取って勝った5番のうち金星は2つあり、照ノ富士キラーと言っていいと思う。また照ノ富士は大栄翔を含めた押し相撲が得意なタイプを苦手としている。その一方で四つ相撲得意の力士には滅法強い。現時点では豊昇龍、霧島、朝乃山は横綱に一度も勝てておらず、四つ相撲得意の力士にとっては高いハードルとなっている。ちなみに若元春は今年1月場所で初めて照ノ富士に勝つと同時に初金星となった。また琴櫻は今年7月場所でようやく初白星を挙げた。やはり横綱に勝つためには馬力とパワーが不可欠といった印象である。

 照ノ富士に勝った相撲はどれも素晴らしいのだが、ここでは2022年5月場所の取組を挙げたい。相撲は大栄翔が頭からぶちかますと細かく突っ張るも前に出る中で照ノ富士に右を差された。しかし横綱の上体は起きており、密着しながら右を差し、そのままあおって寄り切った。大栄翔はのど輪押しを得意としているが、腕を伸ばすと手繰られるリスクもある。結局差されたものの抱え込まれず、動きを止めなかったのが勝因である。また照ノ富士も細かく突っ張ることは頭に入れておらず、その意味では大栄翔の作戦勝ちだった。

 そして今年7月場所に2年ぶりに対戦した。大栄翔が攻め立てる場面もあったが、最後は右からの上手出し投げで敗れた。久々の対戦だったが大栄翔の攻めを照ノ富士が受けるという内容は変わっておらず、それが私としては嬉しかった次第である。横綱の体調次第という側面はあるものの、今後も照ノ富士戦が楽しみである。