2021年1月場所個別評価 正代
初のカド番となったが11勝4敗という成績だった。連勝スタートも3日目は大栄翔に突き出されて初黒星。そして8日目は小結御嶽海に寄り切りで敗れ、前半戦は6勝2敗で折り返した。後半戦は連勝し、大栄翔とのマッチレースに持ち込んだが終盤は連敗し、2回目の優勝は成らなかった。
内容に関しては今場所は立ち合いで左を差す相撲が多かった。11月場所で痛めた左足首の影響は相撲を観た限りでは見られなかった。優勝はできなかったが大関としての役割は果たしたと思っている。ただ先程も触れたが11日目の隠岐の海戦は本割も取り直しの一番も体がないと見られてもおかしくない相撲だった。ラッキーな形で白星を手に入れたにも関わらず、優勝に結び付けられなかったという部分で少し不満が残った。
負けた相撲に関しては3日目の大栄翔戦は立ち合い負けし、右からいなしたものの、結局相手を呼び込む形になった。8日目の御嶽海戦は当たってから左から突き落としたところで御嶽海に二本差され、相撲の流れが悪くなった。14日目の照ノ富士戦はもろ差しとなり攻め込むも回り込まれ、最後は叩き込まれた。勝機を決められなかったと同時に動き負けした一番でもあった。千秋楽の朝乃山戦は左を差しに行くも右からおっつけられ、一気に押し出された。完敗である。
今場所の相撲内容に関しては評価が分かれると思うが、大関を務める分には全く問題ない。その点では一安心である。ただ基本的には廻しを取って組み止めるタイプの力士ではないので上を目指すのは厳しいというのが私の見方である。また正代の場合は自ら廻しを取っても相手も廻しを取り、相手が十分になってしまうことが多いので自ら廻しは取らず、相手にも廻しを与えないのがベストだと思う。そして体の柔らかさを活かし、土俵際でも柔軟に対応するのが正代の相撲である。逆を言えばこれ以上を期待するのは難しいかもしれない。強いて課題を挙げれば立ち合いの当たりを強くし、押し込むことくらいである。また今年で30歳になるので無理して相撲を変えるより今のままの相撲を取り続けたほうが良さそうだ。
3月場所に関しては1月場所同様優勝争いに絡む活躍を期待したい。そしてできれば前半戦の取りこぼしを少なくしたいところだ。大関らしくないマイペースのコメントも多いが周囲に流されず、自分の相撲を取って大関の座を守って欲しいというのが私の願いである。
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