琴恵光引退に関して 私が観た印象
最初に目に入ったのは十両時代である。小兵であり、幕内に上がれるとは思わなかった。また軽量力士なので押し込まれることが多かった。しかし土俵際の網打ちもあり、しぶとい力士というのが第一印象だった。それでも少しずつ番付を上げ、押されにくくなってきた。また祖父が元十両ということもあり、相撲センスは抜群だった。そして右四つの相撲と押し相撲を上手く使い分けていた。小さいので懐に入るのが一番であり、頭を付けて廻しを取ることもあれば、一気に押す相撲もあった。小兵力士は懐に入ったまではいいが、相手に極められ、動きを止められることがよくある。しかし琴恵光は深く差しすぎて身動きを止められるといったことはほとんどなかった。捕まりそうになっても押しに切り替えて体を離すなど臨機応変に動いていた。そして勝負処を逃さないのも持ち味だった。このあたりは努力だけでなく、血筋もあるかもしれない。
残念だったのは最高位が東前頭4枚目であり、上位力士との対戦がほとんどなかったことである。結局白鵬との対戦は1回きりだった。やはり増量できなかったことが上位総当たりの番付に上がれなかった理由である。同じく小兵力士の翔猿と宇良は増量して三役に上がっており、上に上がるにはやはり増量が不可欠である。それでも小さい体を目一杯使った相撲で館内のお客様を盛り上げた。幕内前半戦の土俵を沸かせた立役者と言っても過言ではない。
続く
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