2023年9月場所を振り返って 優勝争い その13

 一方熱海富士は場所を通してよく頑張ったと思う。14日目終了時点で単独トップに立ったが朝乃山には厳しい相撲を取られ、貴景勝には立ち合いで変化されてしまった。また若手なので貴景勝の変化までは読めなくて当然である。ということは優勝を逃したというよりも、単独トップに立ちながら最初から優勝の目はなかったということである。本人は全力を出しており、悲観することは全くない。そして再入幕でありながら役力士三人と対戦できたことが今後の大きな財産となるはずである。肌を合わせて欠けている部分も分かったと思うので次に生かしてほしい。

 また熱海富士は本人のことを考えると今場所は優勝しなくて良かったと言える。なぜなら優勝すれば周囲の騒ぎが大きくなるだけでなく、今後背負うものが大きくなるからである。まだこれからの力士であり、力を付ければ優勝は何度だって狙える。そして優勝できなければそれだけの力士だったということである。私的には千秋楽まで優勝争いをし、名前を売っただけで今回は十分だと思っている。それにしても先場所の十両優勝から今場所の幕内での活躍は凄い。相撲内容的にも急成長しており、それを恐れた貴景勝の気持ちもよく分かる。今度はもう少し経験を積んでから優勝争いをすることを期待したい。

終わり