徳勝龍引退について 相撲の取り口 その2
突き押しに関しては前に出る馬力はあるものの、立ち合いのぶちかましが強いタイプではなく、このあたりが平幕上位に定着できなかった要因である。しかし突き落としなどの技を磨き、平幕下位~十両で活躍した。また技だけでなく、相手との駆け引きが上手かった印象もある。相手の出方をうかがいながら技を繰り出していたので技がよく決まっていた。
そして初優勝で有名となった突き落としである。優勝した場所では10日目から5日連続で突き落としで勝っており、突き落としが冴えまくった。理由の一つは横への動きの速さである。徳勝龍は小学校時代は野球を習っていたが、野球経験者は横への動きが速い力士が多い。現役の幕内力士でいえば高安と湘南乃海が野球経験者であり、いずれも巨体の割には横への動きが速い。
そして以前NHKの大相撲中継の中で徳勝龍が母校の近畿大学を訪ねていた。そしてよくやっていたというのが「四マス跳び」というものである。突き押しの俊敏性を磨くのが目的であり、伊東監督が考案したようである。マスを書き、マスに書いた番号の順番通りに跳び、これを30秒続けるというものである。見た目以上にキツいトレーニングのようだ。あくまで私の想像だが、徳勝龍は入門後も自分なりに考えてトレーニングをし、突き落としに磨きをかけたのだと思う。相手が分かっていてもその動きが速いので技を食ってしまうといった類の突き落としだった。
続く
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