千代の国引退について 私が観た印象その3

 そしてもう一つ、忘れてはいけないのがドラマ性である。特に左膝を痛めて長期休場からの幕下優勝。しかし翌場所は関取復帰間近で三連敗し、負け越した。そしてその後は二場所連続で負け越した。年齢は30歳。ひょっとしたら衰えか?と誰もが思ったはずである。しかし翌場所は7戦全勝優勝し、十両に復帰すると勢いは止まらず、14勝1敗での十両優勝となった。そして翌2020年11月場所は9場所ぶりの幕内の土俵となったが二桁勝利を挙げ、敢闘賞を受賞した。力があるとはいえ、幕下で三場所連続で負け越したのが信じられないくらいの快進撃だった。力士仲間が不死鳥と言うのもよく分かる。諦めない姿勢を稽古場や土俵で示しただけでなく、逆境でも結果を出してきたのが千代の国の凄い部分である。また堅実なタイプではなく、無理や無茶をするタイプだったからこそ誰もが驚く結果を出せたのかもしれない。

続く