2026年9月場所個別評価 美ノ海
今場所は西前頭3枚目だったが10勝5敗の好成績で2度目の敢闘賞を受賞した。前半戦は琴櫻と霧島の二大関を倒す活躍もあり、6勝2敗で折り返した。そして後半戦は11日目に勝ち越しを決めると千秋楽は勝てば敢闘賞という一番だったが大栄翔を押し出して受賞を決めた。また沖縄県出身初の三役がほぼ確実となった。
内容に関しては左前廻し狙いからの押し相撲が光った。また前廻しが取れなくても下からあてがい、前に出て押し出す相撲が多かった。3年前の新入幕時は141キロだった体重が157キロまで増え、増量したことで押されにくくなった。そして負けた相手は大型力士と相撲巧者の安青錦であり、ほぼ完璧の内容だったと言っても過言ではない。
6日目の藤凌駕戦は非常に見応えがあった。押し合いから左を差すと右はおっつけから上手を取った。その後右を離してモロ差しとなったが藤凌駕の腰が重く、なかなか寄れない。その後藤凌駕の左首投げを右を深く差してこらえると右切り返しで裏返しにした。取組後は「きつかったですね。引いてこないので。我慢して取れたと思います。(切り返し)あの形になったらあれしかない。昔、体が小さかった時はよくやっていた」とコメントした。両者共に引かない力相撲であり、取組後は館内から大きな拍手が上がっていた。11日目の琴勝峰戦は低く立って押し上げ、引きに乗じて押し込み、右に回り込まれたもののすかさず頭からぶちかますと琴勝峰のアゴに当たった。すると琴勝峰は力が抜け、膝から崩れるようにして倒れた。ポイントは回り込まれた後のぶちかますスピードの速さである。先場所までなら泳がされ、強く当たれていなかったと思う。しかしすぐに向き直ってぶつかったあたりに地力強化を感じた。琴勝峰は翌日から休場しており、少し気の毒だったが流れとしては仕方がなかったと言える。
そして13日目の藤ノ川戦は立ち遅れたかに見えたが下からあてがって受け止めると突き返し、そのまま押し出した。取組後は「いつも通り左を取りに行って低く攻めた。立ち遅れたけど、あれが僕のスピード。向こうに合うと変化を食ってしまう」とコメントした。なかなか奥が深く、相手のペースに乗らないという姿勢は相撲職人だからこそ言える言葉である。
さて出身の沖縄県は47都道府県で唯一三役力士が誕生していなかったが、自身が打ち破ることになる。一年半前の沖縄県出身者の三賞受賞に続いての偉業である。私的には入幕時は考えてもいなかったので凄いとしか言いようがない。それと同時に少しずつ力を付けての三役昇進であり、嬉しい限りである。めでたいことだがここで満足せず、貪欲に勝ち越しを目指して欲しい。
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