2026年7月場所個別評価 若隆景
今場所は大関獲りの足場固めの場所となるはずだったが全休した。場所前の出稽古先の佐渡ヶ嶽部屋で左足を痛めたため部屋に戻った。その後症状が悪化して救急搬送され「左大腿部外傷性コンパートメント症候群」と診断され、緊急手術を受けた。その後4回の手術を経て、7月場所中の7月24日に名古屋市内の病院から転院していた東京都内の病院を退院した。また場所後の夏巡業は休場し、9月場所も全休の見通しとなった。そして長期離脱を余儀なくされ、復帰は年明けになる可能性が出てきた。師匠の荒汐親方(元幕内・蒼国来)によればあまり負担を掛けると再発の恐れがあると言われているようだ。よって復帰時期を明言せず、慎重に判断する方針である。
それにしても大関獲りに意気込んでいた中でのアクシデントは驚きしかない。本人はショックだったと思うが、手術が遅れれば左足切断の可能性もあり、それどころではなかったかもしれない。年齢は31歳であり、試練と言うにはあまりにも厳しすぎる。
ただ病気とは別に気になることが一つあった。今年3月場所前に痛めた右ヒジの状態である。その3月場所は12日目に勝ち越しを決め、5月場所での三役復帰を決めたものの怪我を悪化させ、翌日から休場した。また師匠は場所途中からの出場を提案したものの止められず、強行出場であったことを明かしている。
3月場所後の春巡業は休場したが、右ヒジの治療には手術の選択肢もあった。しかし復帰まで3か月かかると言われたため、細胞や組織の再生を促進する「PRP治療法」を行った。そして右ヒジの状態が良くなったことが5月場所の優勝につながった。
また3年前にも優勝しているが、3年前の調子が100%だとすれば、先場所の調子は120%のように見えた。特に終盤は無敵の強さを見せ、過去最強の若隆景と言っても過言ではない内容だった。
しかし相撲に限らずアスリートは頑張ったツケは必ず払わされることになる。これはあくまで私見だが、体が強い拒否反応を示した結果の病気だったと思っている。早い話が休めということである。別の言い方をすれば神様がこれ以上相撲を取ることを許さなかったのかもしれない。
そして間近で見ていないので分からないが、はた目から見ても頑張りすぎている。リハビリを始めたようだが、私としては今は何も考えず、とにかく休んで欲しいと思っている。確かに大関昇進は厳しくなったかもしれない。しかし将来親方となり、師匠となった時にこの経験が生きてくると思う。今までの土俵人生を振り返るのも悪くない。一番良くないのが早期復帰を目指すことである。そうではなく、この時間を使って自身と向き合って欲しい。ただこのまま引退では寂しいので、番付関係なく土俵に戻ってくる日を気長に待ちたい。
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