2025年11月場所個別評価 千代翔馬

 今場所は東前頭17枚目であり、5度目の入幕となったが10勝5敗の好成績だった。連勝スタートも3日目から3連敗した。しかしその後は巻き返し、前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は10日目から連勝して12日目に勝ち越しを決めた。千秋楽は琴勝峰を上手投げで破り、1年ぶりの二桁勝利となった。

 内容に関しては右上手を取っての相撲と引き技で白星を挙げていた。また叩き込みと上手投げで2番ずつ勝っているが、それ以外は全て違う決まり手であり、多彩な技を見せていた。初日の佐田の海戦は突き起こした後左四つに組んで左下手を取った。その後右で頭を押さえて下手出し投げで転がした。上手からの攻めというイメージが強いが、左下手からの投げ技は見事だった。6日目の湘南乃海戦は突き起こした後右上手を取ったが上手を切られた後前に出られた。しかし左からの肩透かしで湘南乃海を土俵外にかわした。3連敗中であり、得意の形になりながら負けていたので嫌な流れだったが断ち切って星を五分に戻した。そして千秋楽の琴勝峰戦は当たってすぐに左上手を取ると左へ回りながら振り回して裏返しにした。相手が右四つ得意ということで敢えて左上手を取りに行った。作戦勝ちの内容で白星を二桁に乗せた。

 今年1年を振り返ると3月場所は負け越したものの豊昇龍から金星を挙げる活躍を見せた。その後腰痛で十両に番付を下げたが、持病の腰痛は力が入りにくい状態のようである。よって腰の状態さえ上向けば再度の平幕上位も見込めそうだ。

 来場所は東前頭11枚目となったが勝ち越しを期待したい。今場所二桁勝っており、十両で取る力士ではない。あとは腰の状態ひとつとなりそうだ。気力は衰えておらず、もっと上の番付で観たい力士である。