若隆景は大関になれるのか? スロースターター
序盤戦での出遅れが大きな課題である。番付が小結や平幕上位であれば前半戦は上位力士との対戦が多くなるので黒星先行は理解できる。しかし関脇に上がり、前半戦は平幕との対戦が多いにも関わらず黒星が増え、上位と対戦する後半は巻き返すといったことも多く見られた。よってエンジンの掛かりが遅いタイプと言える。
ただこの傾向は右膝を痛める前であり、現在もこの傾向が続いているかは分からない。2025年7月場所は7日目までで3勝4敗と黒星が先行したが、食あたりが原因との情報もある。地方場所であり、その可能性も否定できない。それでも今年5月場所と7月場所は場所全体を通して見ても尻上がりに調子を上げていった印象がある。よってスロースターターのイメージは変わらない。
普通に考えれば9月場所は大関獲りなので序盤の取りこぼしが命取りになるのは確かである。また大の里は常々「序盤の入りが大事」と語っており、序盤に関しては細心の注意を払って相撲を取っているように見える。ただ大の里は巨体であり、若隆景とは体格が違う。そして15日間は長く、仮に若隆景が序盤を意識してピークを早く持っていけば後半はバタバタになる可能性もある。体が大きければ大の里のように後半戦は体力で踏ん張れるのかもしれないが、若隆景は軽量なので大の里のような訳にはいかない。ということで大関獲りに向けては調整法を変えるのではなく、いつも通りの調整で臨めばいいと思っている。そして取りこぼしは覚悟の上で自分の相撲を取ることに集中することが大事である。また取りこぼしをしたくないという気持ちが強くなれば廻しを取りに行きたくなる。そうなってしまうと自分の相撲が崩れかねない。その部分は強い意識を持って低い重心からの前に出る相撲に徹して欲しい。その意味では体調面以上に精神面が問われそうである。
続く
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