2022年1月場所個別評価 若元春
新入幕の場所だったが9勝6敗で勝ち越した。前半戦は4日目から3連敗したが4勝4敗で折り返した。そして後半戦は12日目に7勝目を挙げると14日目は翔猿を寄り切りで破り、嬉しい勝ち越しを決めた。そして千秋楽は天空海に寄り倒しで勝ち、9勝で場所を終えた。
内容の前に若元春の紹介をしたい。若元春は福島県出身で荒汐部屋所属であり、年齢は28歳である。また祖父は元小結・若葉山、父は元幕下・若信夫という相撲一家である。そして若元春は三兄弟の次男である。兄は幕下・若隆元、弟は関脇・若隆景であり、大波三兄弟と言われている。若隆景との比較で言えば若隆景は大学相撲出身に対して若元春は高校卒業を前に入門している。体格は身長187センチ、体重143キロと若隆景より一回り大きい。そして相撲の取り口は若隆景は四つ相撲と押し相撲を巧みに使い分けるが、若元春は左四つに組み止める相撲を得意としており、押し相撲は取らない。性格的にも若隆景は相手を研究した上で緻密な相撲を取るタイプである。そして負けん気が強い。一方若元春はあまり考えるタイプではなく、身体能力の高さを前面に押し出した相撲を取る。かつての井筒三兄弟で逆鉾と寺尾が全く違う相撲を取っていたように若元春と若隆景も全く違うと言っていいと思う。
さて内容に関しては左四つに組み止めて寄る相撲には安定感があった。まずは左を差し、右上手を取ってから寄るという相撲が多かった。そして印象に残ったのが小兵・軽量力士相手に上手く相撲を取っていたということである。今場所は石浦、照強、琴恵光、翔猿との対戦があったが全て勝った。小兵・軽量力士に強いことに関してだけは若隆景と一緒である。一方大型力士相手には馬力負けした相撲が何番か見られた。体重143キロは幕内力士の中では軽い方なので今後どう相撲を取っていくかは課題として残った。それでも立ち合い負けはしておらず、幕内定着は可能だと私は見ている。
来場所は自己最高位を更新し、西前頭9枚目となったが勝ち越しを期待したい。ただ今度は今場所の結果を踏まえて対戦相手が研究してくる。また一般論としても入幕二場所目で大負けする力士も多く、その部分をどう乗り越えていくかに注目したい。それでも身体能力は若隆景より高いものを持っているので弟のように幕内後半の土俵を盛り上げる活躍を今後期待したい。
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