2025年7月場所個別評価 一山本

 今場所は西前頭8枚目だったが9勝6敗という成績だった。5連勝スタートを切り、前半戦をトップタイの7勝1敗で折り返すと後半戦は10日目は明生を押し出し、優勝争いで単独トップに立った。しかし11日目からは5連敗し、9勝で場所を終えた。

 内容に関しては突き押しだけでなく寄り切りで2番、下手出し投げで1番勝っているように四つに組む相撲も見られた。また体がよく動いており、優勝争いを盛り上げた。ただ終盤は上位力士に連敗し、結果もさることながら内容的にも地力の差が出た印象がある。

 11日目の高安戦は高安の左差しを許さなかったところまでは良かった。しかし最後は攻めきれず、右からの下手投げに屈した。内容は悪くなかったが地力と経験の差が出た感じがする。高安は一山本の攻めを受けており、まずは押し切れるようにならなければ話にならない。年齢は31歳だが大学卒業後に公務員となった後退職して入門しており、キャリアが浅い。よって立場的には若手とも言える。私的には三役昇進のためには高安を押し出せるくらいの力を付けることが最低条件だと思っている。

 12日目の大の里戦は最初の相撲の取り直しはやや不運だった。ただ一山本の体も伸び切っており、取り直しは妥当な判断だったのかもしれない。取組後本人が語っていたようにあと一歩だったのだが、そのあと一歩を白星に結び付ける作業をして欲しいところだ。上を目指すにあたっての「あと一歩」は一山本にとって重いテーマであり、課題である。また上を目指す入口に入ったからこそ出てきた課題でもある。個人的には今場所は連敗して場所を終えましたで片付けて欲しくない。その理由を自分なりに考えて欲しいと思っている。

 年齢的には突き押し相撲に磨きをかけていくしかないと思う。突っ張りも持ち味だが、私的には立ち合いではなく、二の矢、三の矢の頭からのぶちかましが一番のセールスポイントだと感じる。188センチの長身からかがむようにして相手のアゴの下に入れてくるので対戦相手はきっと嫌なはずである。四つ相撲も悪くはないが、上を目指すなら突き押しに徹した方がいいというのが私の考えである。

 来場所は番付を上げるが、今場所のように場所を盛り上げるような活躍を期待したい。まずは勝ち越しであり、できれば二桁勝利といきたい。三役に向けて頑張って欲しい。