ラダーの申し子 嘉陽 最後に

 新入幕の2025年5月場所は7勝8敗で負け越した。しかし千秋楽での負け越しであり、同年7月場所も東前頭16枚目に据え置きとなった。そして回り込む相撲と俊敏な動きは幕内の土俵でも通用するところを見せた。また4連敗スタートとなったが連日気持ちを切り替えて臨んでいたようだ。連敗を止めた日から4連勝につなげ、五分の星に戻した。こういった部分もプロ向きと言えそうだ。

 千秋楽の金峰山戦は負けはしたものの、自ら後ろに下がる面白い動きを見せた。幕内では宇良が時にこのような動きをするが宇良の場合は重心を下げており、宇良とは違って立った状態で後ろに下がっていた。他の力士ができないような動きができる力士であり、地力さえ付けば幕内の土俵を盛り上げる日が遠からずやって来そうである。

 また相撲を見ているとセオリー通りの内容ではなく、技に加えて独特の感性の持ち主のようである。そして師匠が伸び伸びと育てており、本人も持ち味を発揮している。

 最近は小兵の宇良、翔猿、翠富士が幕内の土俵で存在感を見せているが、嘉陽は3人とはまた違った形で躍動しそうである。いずれは上位力士と対戦できる位置まで番付を上げ、上位力士を苦しめる存在となりそうだ。あとは部屋を背負っていく存在としての期待が非常に大きい。嘉陽の頑張りが部屋の将来を左右すると言っても過言ではない。ただマイペースな性格のようであり、期待を一身に背負って頑張るタイプには見えない。師匠もそれを分かっており、力を発揮できるような環境を作っている。ラダートレーニングの成果を発揮するのはまだまだこれからであり、いずれは上位力士を倒す活躍を期待したい。

終わり