歴史をつないだ男! 栃大海 部屋の稽古に関して

 部屋の稽古を見て驚いたのが、当時入幕したばかりの遠藤が出稽古に来ており、栃ノ心に軽々と吊り上げられていたことである。写真を見て同じ幕内力士でもここまで力の差があるのかと驚いた記憶がある。おそらくスタミナの差が吊り技となって表れたと私は見ている。

 また部屋には大デッポウ、中デッポウ、小デッポウの3本の鉄砲柱がある。「大」は膝に余裕を持たせ、手を高い位置に、鉄砲柱の方に重心を掛け、廻しの位置を柱に近づけて軸をぶらさず、お腹と背中を使いながら打ち続ける。「中」は普通のテッポウ。「小」は、より低いところから、膝の構えを崩さず、手ももちろんキツいけど足にも来るもののようである。部屋の力士は伝統的に低い重心からぶつかって押したり、二本差したりという力士が多く、3本の鉄砲柱がそれを象徴していると言える。

続く