2025年5月場所個別評価 伯桜鵬

 今場所は東前頭7枚目であり、自己最高位だったが8勝7敗で勝ち越した。7連勝スタートを切ったが8日目は明生に小手投げで敗れて初黒星となった。しかし9日目は正代を寄り切り、幕内では自己最速となる勝ち越しを決めた。その後は役力士との対戦が続いたこともあり、6連敗ということで8勝で終えた。

 千秋楽の時疾風戦は左足を浮かせ、力なく土俵を割っていた。左足首を痛めており、おそらく前日に痛めたのではなく、もう少し前から痛めていたものと思われる。横綱戦にしても大の里戦にしても、思い切って頭からぶちかましたことは評価できる。ただぶちかますだけの力士ではなく、この時点で既に足首を痛めており、ぶちかますしかなくなったと想像している。また14日目の霧島戦は霧島が気遣いながら相撲を取っているようにも見え、何らかの情報が入っていた可能性もある。13日目からは明らかに本来の動きではなかった。身長181センチ、体重159キロであり、いずれも幕内平均を下回る。また役力士との対戦が続いたことで体にダメージが蓄積されたのかもしれない。

 確かに6連敗で終わったものの、前半戦の土俵を盛り上げたのは事実である。また地力強化をうかがわせる内容だった。特に良かったのが7日目の一山本戦である。一山本の突っ張りに後退しながらも下からおっつけて一山本の動きを止めた。その後右からおっつけると一山本がたまらず引き、そこを一気に押し出した。同じ平幕同士だが力の違いを見せた。

 来場所は再度の自己最高位となるが勝ち越しを期待したい。怪我をする前まではテクニックと勢いだけで相撲を取っていた印象がある。しかし今は稽古量も増え、しっかりとした土台を作った上で相撲を取っているように見える。また十両時代を含めれば6場所連続勝ち越し中であり、数字の上でも着実に力を付けているのは明らかである。よって今までの稽古内容を変えず、本場所で力を試したい。また三役などの番付は後からついて来るものであり、番付よりも今は地力強化の方に力を注いで欲しい。