これぞ理想の横綱! 照ノ富士 来歴 闘病生活

 そして闘病生活は1年以上を要した。当時189キロあった体重は、162キロまで減った。そんな時に支えてくれたのが今の奥様である。本人の前では気丈にふるまい、退院後の食事も、奥様が先生からアドバイスを受けて、食事を毎日作ってくれたようである。このように奥様の献身的な支えがあって体が徐々に回復し、内臓の治療中に、両膝の手術も無事に終わった。

 その一方で病気になった時からずっと、相撲を辞めたいとしか思っていなかった。奥様は全面的に理解してくれた。ということで説得すべきは師匠、ただ一人である。しかし師匠は一向に首を縦に振らない。親方が引退を認めないうちは、正式に辞められないからどうしようもない。そして師匠は結局辞めさせなかった。私には師匠の強い信念を感じた。この部分は照ノ富士が横綱に昇進できた一つの分岐点であり、また後ほど語りたい。

 結果的に師匠に根負けする形で覚悟を決める状況に追い込まれた。そして専属でついてくれるトレーナーをモンゴルから呼び、一年半かけて筋力トレーニングで筋力を取り戻した。

続く