2021年9月場所を振り返って 優勝争い その4

 妙義龍と明生の一番だが明生は新関脇で7勝7敗とまだ勝ち越しが決まっていない。明生にとっても負けられない一番だった。相撲は明生が立ち合いからぶちかまして突き上げると右に変化しての肩透かしに妙義龍が両手を付いてしまった。この瞬間に照ノ富士の優勝が決まった。しばらくしゃがみ込んでがっかりした表情の妙義龍が印象的だった。34歳ということで優勝して相撲人生の集大成をという気持ちが強かったと思うが、その夢は叶わなかった。また相撲においては年齢は若いものの、全てにおいて明生が上手だった。そして勝ち越しが懸かっていた割には冷静だった。ひょっとしたら妙義龍は横綱戦の方が善戦できたかもしれない。それはともかく、優勝が決まった照ノ富士はホッとしたと思う。相手が正代とはいえ、勝負事であり、膝の状態もある。早く決まるに越したことはないというのが正直なところではないか。結びの一番は照ノ富士が立ち合いからすぐに左前廻しを取り、相手が巻き替えに来たところを何なく寄り切り、優勝に花を添えた。

 三賞は照ノ富士に初黒星を付け、2桁勝利を挙げた大栄翔が4度目の殊勲賞を受賞した。そして優勝は逃したものの2大関を破り、11勝を挙げた妙義龍が6度目の技能賞を受賞した。また三賞受賞は49場所ぶりということで2番目に長い受賞間隔となった。十両は東5枚目の阿炎が13勝2敗というハイレベルな成績で2度目の優勝を決めた。1勝2敗のスタートだったが、4日目から全て白星を並べたあたりはさすが元三役力士である。これで7場所ぶりの再入幕を確実とした。日本相撲協会のガイドラインに違反し、3場所出場停止処分を受けたが、気持ちを入れ替え、真摯に相撲に向き合っているように見える。あとは現状に満足せず、まずは上位力士と対戦できるところまで番付を上げたい。

終わり