2025年3月場所個別評価 英乃海
今場所は西十両6枚目だったが10勝5敗の好成績だった。前半戦は6勝2敗と白星先行で折り返した。なお4日目の生田目戦は不戦勝だった。そして後半戦も白星を伸ばし、11日目は輝を突き落としで破って勝ち越しを決めた。その後千秋楽は欧勝海に勝ち、二桁勝利ということで来場所の再入幕の可能性も出てきた。
最近は十両中位の番付で勝ったり負けたりといった土俵が続いていた。また35歳のベテランであり、右ヒジと左のふくらはぎにはテーピングが施されていた。そして取組後は左足を痛がる素振りも見せていた。
今場所の十両は草野の新十両優勝一色といったムードだったが、それを除けば個人的には英乃海の活躍が印象に残っている。ベテランらしく随所に上手い相撲を見せた。初日の友風戦は土俵際まで友風を攻めさせた後、つっかい棒を外すような形で左から突き落とした。負けた友風は思わず苦笑いしていた。5日目の琴栄峰戦は激しい差し手争いから右を差すと機を見て左からいなすと琴栄峰が大きくバランスを崩し、そこを一気に押し出した。10日目の栃大海戦は栃大海が突き放す前に中に入って左をのぞかせると一気に寄り切った。本人によると「振りかぶってくるのが見えたので、その瞬間に差した」としてやったりの表情だったみたいだ。技ありの立ち合いで栃大海の攻めを封じた。そして13日目の若碇戦は当たってすぐに左を差し、右は抱える形で若碇の動きを止めた。その後巻き替えの応酬となり、得意の右を差した。その後は左から抱えて再度動きを止めると若碇の捨て身の掛け投げに乗じて抱えた左を突きつけるようにして土俵の外に出した。いつも思っていることだが、相手の弱点を突く内容は見事としか言いようがない。そして今場所は持ち味を存分に発揮したと言える。
来場所は入幕が叶えば3年ぶりの幕内となる。上がれなかったとしても同じく3年ぶりの十両上位の番付となる。どちらに転がってもおかしくなく、番付発表があるまでは何とも言えない。ただ力は落ちておらず、幕内復帰は可能と見ている。またそれだけの力量を持っており、幕内の土俵でその上手さを見せて欲しいと思っている。
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