2025年3月場所個別評価 尊富士
今場所は西前頭6枚目だったが9勝6敗という成績だった。連勝スタートも3日目から連敗した。しかし5日目からは連勝し、10日目に勝ち越しを決めた。また10日目での勝ち越しは2場所連続となった。11日目は美ノ海に勝ち、優勝争いでトップに並んだ。しかし12日目は大の里との2敗対決に敗れ、優勝争いから後退した。結局終盤は連敗し、9勝で場所を終えた。
内容に関しては出足を生かした押し相撲と左差しの相撲で白星を挙げていた。序盤に連敗はあったもののそれ以外は白星を並べており、平幕相手なら力は上位である。やはりポイントは連勝が止まった大の里戦である。当たり勝ったように見えるが大の里の方が先に手を付いており、その分だけ一瞬早く大の里の方が踏み込んでいた。そして体を寄せられず、引き技を食ってしまった。確かに相撲に勝って勝負に負けた一番かもしれない。しかし新入幕優勝を果たした1年前の大の里戦は大の里の引きに乗じて押し出している。しかし今回はついて行けなかった。厳しい言い方だが、一年の間に大の里が強くなったということである。そしてそれが番付の差となって表れている。取組後は「あと一歩が出なかった」と語っていたが、上に上がるためには「あと一歩」が出るように稽古に取り組んで欲しい。
そして気になったのが終盤の4連敗である。終盤に関しては2場所前は11日目から3連敗しており、先場所は連敗して場所を終えている。そして今場所は14日目の安青錦戦は不用意に引いたところを一気に寄り切られた。千秋楽の若元春戦は相手を見ながら立ち、吸い込まれるように四つに組まれ、寄り切られた。気迫が伝わる内容ではなく、ひょっとしたらスタミナ不足かもしれない。錦富士によると稽古はトレーニングが中心のようだが、今後に向けては相撲を取る稽古を増やす必要性を感じる。個人的には終盤の土俵は稽古量の多い力士が勝つと考えている。
来場所は自己最高位となるが、平幕上位で大負けしている力士がほとんどおらず、前頭4枚目あたりとなりそうだ。それでも上位力士と対戦する位置であり、ここからが勝負である。役力士に勝つのは勿論、勝ち越しでは物足りないので二桁勝利を期待したい。また三役は通過点であり、大関候補に名乗りを上げたいところだ。
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