2025年3月場所個別評価 一山本
今場所は自己最高位の西前頭4枚目であり、初の上位挑戦の場所となったが7勝8敗で負け越した。7日目までは平幕力士との対戦だったが4勝3敗と白星が先行した。そして8日目からは初の横綱・大関戦となったが9日目は豊昇龍を掬い投げで破り、初金星となった。北海道出身力士の金星は1984年11月場所の保志(後の北勝海)以来41年ぶりである。翌10日目は琴櫻を叩き込み、2日続けて看板力士を倒した。しかしその後は連敗し、14日目に負け越しが決まった。千秋楽は宝富士に勝って」連敗を止め、7勝で場所を終えた。
内容に関しては押し相撲と叩きに加えて左を差す相撲で白星を挙げていた。また叩き込みで3番、引き落としで1番勝っているが、相手を押し込んでからの引き技であり、力が付いてきた証拠である。2日目の隆の勝戦はもろ手突きから隆の勝に右を差され、組み止められたかに見えた。しかし右を差すと左からおっつけながら前に出た。そしてたまらず隆の勝が左を巻き替えに来たところを一気に寄り切った。隆の勝は元関脇でかつての大関候補でもあり、実力者相手に堂々たる内容での白星だった。そしてやはり9日目の横綱戦である。もろ手突きから左を深く差すと一気に前に出た。そして小手投げをこらえると掬い投げで豊昇龍を転がした。豊昇龍は前日は高安に負けており、調子を崩した可能性もある。しかしそれを差し引いても見事な内容であり、評価できる。琴櫻戦は当たってすぐに右を差されたものの、琴櫻が前に出てきたところを右へ回り込んで叩き込んだ。体の動きも良く、前日の勢いをそのままにといった内容だった。
しかし勢いだけで勝てるほど相撲は甘くない。翌日からは4連敗で負け越しが決まったが、そのうちの3敗は役力士相手だった。そして力は出せたもの通用しなかったという相撲のように見えた。この4連敗こそが今後に向けての課題である。力を付け、役力士との力の差を詰めていきたい。
来場所も役力士との対戦が組まれる位置となりそうだが今度は勝ち越したい。また今場所観た限りでは突き押しだけでなく、左四つの相撲も磨く必要がありそうだ。突き押しを磨くとともに組まれた時のことも想定して稽古をしたい。そして今後は実績を積み上げると同時に三役を目指しての土俵となる、
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