祖父の背中を追いかけて 琴ノ若 琴勝峰の存在

 琴勝峰は琴ノ若の埼玉栄高校の2年後輩でもあり、琴ノ若に先んじて上位総当たりの番付まで上がった。しかし大負けして跳ね返され、怪我もあり、現在は十両で土俵を務めている。

 琴勝峰は出世が早く、入門して僅か2年で十両昇進を決めた。また琴勝峰に触発されて琴ノ若が番付を上げていった印象もある。結局琴ノ若は琴勝峰に番付で抜かれたが、今度は琴勝峰が壁にぶつかり、現在は琴ノ若の方が番付が上である。

 琴勝峰の相撲の取り口は右四つも突き押しもできるという部分では琴ノ若と同じである。しかし琴ノ若が柔軟性で勝負するタイプであるのに対し、琴勝峰は馬力で勝負するタイプである。また身長190センチ、体重159キロの体格は琴ノ若より恵まれていると言ってもいいかもしれない。身体能力も非常に高い。

 最近は十両での土俵が続いているが、年齢は22歳と若い。また同学年の豊昇龍が大関を破るなど活躍しており、刺激を受けているかもしれないが、琴勝峰は琴ノ若と違って幕下での下積みの期間がほとんどなかった。今までが順調にいきすぎたということだと思う。ここは割り切って本場所の土俵も稽古だと思ってじっくり力を付けていってほしいところだ。厳しく言えば高い身体能力に頼った相撲が多い一方、廻しの取り方など技量が不足している。この部分は本場所と稽古で少しずつ補っていくしかない。ただ技量さえ伴えば将来の横綱候補と言っても過言ではない。個人的にはもう少し十両の土俵で揉まれてから再入幕してほしいと思っている。そして数年後は琴ノ若とともに役力士として活躍していることを期待したい。

続く