2025年3月場所個別評価 霧島
今場所は三役復帰の場所となったが8勝7敗で勝ち越した。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は11日目は優勝争いで単独トップの高安を破り、見せ場を作った。しかし翌日は玉鷲に敗れて7敗目となり、3日を残して勝ち越しに向けて後がなくなった。その後は踏ん張り、千秋楽に勝ち越すと同時に三役の座をキープした。
場所前は痛めている首に加えて右股関節を負傷し、状態が心配された。確かに相撲が取れる体調ではあったが、立ち合いの当たりが弱く、あっさり引いて負ける内容も目立った。それでも執念で勝ち越しに結び付けたという印象である。それを象徴したのが7日目の若元春戦と13日目の一山本戦である。若元春戦は当たってすぐに左を差し、右はおっつけ、若元春に右上手も左差しも許さない体勢を作った。しかし不利な体勢になることも考えられるので前には出られない。若元春もじっくり構え、長い相撲となった。その後右おっつけから右を差し、得意の右四つの形を作った。しかし若元春は右下手を取っており、左を巻き替えに出た。そこを若元春に一気に寄り詰められたものの残し、左掬い投げからの右肩透かしで転がした。一山本戦は当たって押し込まれ、左に回り込んだが左四つに組まれ、両廻しを取られる苦しい形となった。しかし左下手を取り、半身になって守りの形を作った。その後一山本が左前みつを取り、前に出てきたところ左下手投げで裏返しにした。一山本は四つ相撲が得意ではないので助けられた部分はあったが、一番に懸ける気持ちが伝わってきた。ということで体調が良くない中で粘り強い相撲を取ったことが勝ち越せた要因と見ている。
来場所は少しでも体調を戻し、二桁勝利を挙げるとともに大関復帰への起点を作りたい。そして今度は上位力士を倒す活躍を期待したい。
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