2025年3月場所個別評価 豊昇龍

 今場所は新横綱として迎えた場所だったが5勝5敗5休という成績に終わった。初日は阿炎に突き出され、黒星スタートとなった。また新横綱の初日黒星は1995年1月場所、貴乃花が武双山に敗れて以来30年ぶりとなった。翌日からは3連勝し、立ち直ったかに見えた。しかし5日目は千代翔馬に立ち合いで大きく右に動かれ、右上手を取られると寄り切られ、初の金星配給となった。その後8日目は高安に押し倒されて3敗目となり、優勝が厳しくなった。翌9日目は一山本に掬い投げで敗れて4敗目となった。また新横綱場所での金星3個の配給は、栃ノ海以来61年ぶりとなる不名誉な記録となった。そして10日目から休場した。10日目の対戦相手の宇良に敗れれば昭和以降初の金星配給4個の失態となっていただけに当然の判断である。また新横綱の休場は1986年9月場所の双羽黒以来40年ぶりとなった。

 場所前から予兆はあった。新横綱としての雑用の多さに加え、先場所千秋楽で右ひじを痛めていた。それが原因で2月28日に予定していた佐渡ヶ嶽部屋への出稽古を急きょ取り止めている。またおなかを壊すトラブルもあり、稽古不足で本場所を迎えることになった。

 内容に関してさばいて勝った相撲もあり、自分の相撲が取れていたとは言えない。また右は使ってはいたものの、ひじにロックが掛かったような状態であり、伸ばせなかったようだ。高安戦で状態が悪化し、それが原因で連敗という流れになった。ということでまずは右ひじの回復が最優先である。

 私的に気になったのが高安戦での黒星である。これで対戦成績は2勝10敗となった。また2勝のうちの1勝は不戦勝である。この日は照ノ富士親方が解説していたが、結局組むことになるので高安が有利と予想していたようだ。そして実際その通りの結果となった。豊昇龍は照ノ富士戦は白星なしの10敗であり、勝てないまま照ノ富士が引退した。そして高安は照ノ富士と互角に相撲を取ってきた力士である。体型も似ている。おそらく高安も組み止めさえすれば勝てるという自信があったものと思われる。そしてそれは照ノ富士親方も同じだったと推測できる。また親方が所属する伊勢ヶ浜部屋には熱海富士がおり、熱海富士戦も3勝5敗と苦手としている。そして巨漢力士というのも一緒である。横綱には失礼だが、私が観た限りでは体の大きな力士に組み止められ、動きを止められたらおしまいという力士である。仮に振りほどいても、その後の流れが悪くなる。こういった相手に今後どう対応するのか?。高安はベテランで怪我が多く、熱海富士との対戦は来場所もなさそうなので緊急の課題ではないのだが・・・。私としては巨漢力士相手にどう対処するか今後注目していきたい。

 来場所は横綱二場所目となるが巻き返しを期待したい。年齢は25歳と若く、横綱とはいえ成長が見込める。また成長できるかどうかが今後の力士人生を大きく左右しそうである。