叔父に追いつけ!豊昇龍 師匠と明生の存在

 そして触れなければならないのが師匠と明生の存在である。師匠は元小結旭豊の現立浪親方である。現役時代は甘いマスクで人気があり、角界の松平健と呼ばれていた。そして現在は体型がスマートになっており、甘いマスクもそのままである。一方先代立浪親方の長女と結婚し、立浪部屋の後継者となったまでは良かったものの、先代立浪親方と金銭トラブルが発生し、訴訟を起こされ、最高裁までもつれ込んだ。結局完全勝訴したが、情報の限りでは現立浪親方に非はなく、相当苦労したはずである。その後2004年11月に別の女性と再婚している。

 また先代立浪親方は大翔鳳や智ノ花など大学相撲出身者をスカウトしていたが、現立浪親方は大学相撲出身者は取らず、若い力士を一から育てているのも好感が持てる。同部屋の明生は中卒、天空海は高卒である。そして豊昇龍を観ていると小細工はせず、着実に力を付けているのがよくわかる。師匠の指導方針がそのまま伝わってきそうな相撲内容である。最近は明生と豊昇龍の活躍で時々NHKの相撲解説に出ているが、弟子を見る眼は厳しい。勝っても内容まで見て、技術的な部分まで踏み込んで鋭く指摘していた。朝青龍が言うように、師匠についていきさえすれば間違いないと思う。師匠は相撲だけでなく、金銭トラブルを経て人生経験も積んでいる。ファンとしては師匠の存在は頼もしい限りである。

 明生は9月場所に新関脇に昇進した。新小結だった7月場所は8勝7敗で勝ち越し、十両時代を含めれば7場所連続勝ち越し中である。今一番勢いに乗っている力士と言っていいかもしれない。年齢は26歳で豊昇龍より4つ年上である。おそらく豊昇龍に触発されて番付を上げてきた部分もあるかもしれないが、豊昇龍の壁となって立ちはだかっている存在であるのは確かである。また稽古場で明生に勝てれば自分も三役に上がれると思っているはずなので身近に番付が上の先輩力士がいるのは最高の環境である。明生は豊昇龍以上に器用な相撲が取れるタイプであり、スピードも持っている。しかも土俵経験も豊富なので豊昇龍が力を付けているとはいっても簡単に勝てる相手ではない。おそらく明生も豊昇龍の台頭に危機感を持っていると思うので相乗効果に期待したいところだ。またそれを師匠も望んでいると思う。豊昇龍が明生を超える日が来るのか?。それとも今後も明生が豊昇龍の前に立ちはだかるのか?。興味は尽きない。

続く