2021年7月場所を振り返って 優勝争いなど その1

 2021年7月場所は横綱白鵬が7場所ぶり45度目の優勝を果たした。6場所休場明けからの優勝は休場明けの場所での優勝としては最長ブランク記録である。

 場所前は白鵬が進退を懸けて出場することや照ノ富士の綱取り、高安の大関獲り、新小結の若隆景と明生に注目が集まった。まずは優勝という結果は別として、白鵬が7月場所に出場してきたのを評価したい。本人が公言したことなので当然と言えば当然だが、本来なら進退を懸けた横綱は東京場所で臨むのが普通である。私は7月場所も休場し、9月場所に出場するものだとばかり思っていた。ましてや7月場所は1年4か月ぶりとなる地方開催である。それに加えて暑さが大敵となる。体調管理も難しくなってくる。また東京オリンピックで国技館が使えないということで場所前に行われていた合同稽古も7月場所前は行われなかった。家族は中日と千秋楽に応援に来ていたみたいだが、リスク覚悟でよく7月場所に臨んできたと思う。おそらく歴代の横綱が白鵬のような状況に置かれたらこの判断はできない。それと同時に引退覚悟で強い気持ちを持って出場してきたということである。このあたりは10年以上にわたって横綱を務めてきただけのことはある。

 さて7月場所は大関獲りの高安がぎっくり腰で初日から休場となって3日目からの出場となった。また貴景勝は3日目から休場し、9月場所はカド番となった。そして役力士の正代、高安、御嶽海が序盤から取りこぼしをする中、白鵬と照ノ富士は初日から順調に白星を積み重ねた。白鵬はやはり初日の明生戦を乗り越えたことが大きい。自身が休場している間に力を付けてきた力士なので難敵と言える相手だったが掛け投げで破り、その後は調子を上げてきた。一方照ノ富士も相撲に安定感があり、崩れる感じは全くなかった。早くも前半戦からマッチレースの様相を呈してきた。8日目終了時点で全勝は白鵬と照ノ富士の2人、1敗はなく2敗で平幕の3人が追いかける展開となった。この時点で全勝の2人を除けば役力士で優勝争いに絡んでいる力士は1人もおらず、相撲内容を観ても優勝は2人に絞られたと言っていいと思う。

続く