2025年1月場所個別評価 翔猿
今場所は東前頭3枚目だったが7勝8敗で負け越した。初日は過去4戦全敗の大の里を引き落としで破ると3日目は琴櫻を倒し、翌日は照ノ富士を送り出して金星を獲得した。7日目終了時点で5勝2敗であり、一横綱二大関を破る活躍は前半戦を盛り上げた立役者である。しかし8日目からはまさかの5連敗で7敗となると14日目は豪ノ山に敗れ、負け越しが決まった。
内容に関しては上位力士を倒した内容は本当に素晴らしかった。大の里戦は立ち合いの踏み込みが良く、大の里のもろ手をかいくぐって突き起こせたことが勝因である。琴櫻戦は当たってすぐに右を差し、主導権を握るとその後は押し合いとなり、琴櫻が左を差して前に出たところを右に回り込んで引き落とした。密着させず、廻しも取らせず、距離を取ったことが勝因である。照ノ富士戦は引っ張り込まれたものの左に回り込んで残した。そして再度引っ張り込まれたが振りほどくと右からおっつけて送り出した。懐に入りながらも抱え込ませず、且つ廻しを取らせずの距離感は何とも絶妙である。確かに横綱の衰えもあったかもしれないが、それを差し引いても見事な一番だった。
それでも結果として負け越してしまった。その原因は連敗の始まりとなった8日目の阿炎戦だったと思っている。当たって下から押し上げ、一方的に攻め込んだ。しかし阿炎が左に回り込んで凌ぐと右からいなして形勢逆転となり、そのまま押し出した。何ら悪い相撲内容ではない。ただ阿炎の右からのいなしが上手すぎた。一つの技で展開を変えられる。流石は三役力士である。またこのいなしで相撲の歯車が狂ったように見えた。得意の距離感が取れず、逆に相手にじっくり見られる内容で黒星が増えていった。
しかし上位力士を倒したのは事実であり、一点の負け越しということで悲観することはない。来場所は上位力士を破った上での勝ち越しを期待したい。そして次なる目標は三役復帰である。平幕上位には定着しており、地力は持っている。体重135キロの軽量ながら奮闘しており、三役復帰という結果で報われて欲しい。
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