2025年1月場所個別評価 若元春

 今場所は大関に向けての足固めが期待されたが6勝9敗で負け越した。白星スタートも翌日からは7連敗し、二桁勝利の可能性が早々と消滅した。後半戦は11日目に負け越しが決まると13日目は一山本に押し出されて9敗目となり、来場所の平幕陥落が濃厚となった。また関脇でありながら大関戦は組まれなかった。

 内容に関しては左四つに組み止める相撲がほとんど取れなかった。自分の相撲が取れず、黒星が増えていく中で調子を崩していったという印象である。確かに自分の相撲を取ることは大事である。しかし対戦相手は組み止められることを警戒している。それに加えて現代は押し相撲の力士が増え、簡単には四つに組ませてもらえないという状況もある。コメントを見ると理想を追求しすぎているようにも見える。私としては四つに組ませてもらえないことを見越して押し相撲で対応して欲しいと思っている。そして先場所のように四つに組めなくても押して勝てればそれで構わないという相撲でいいと考えている。また押し相撲を磨けば攻めの引き出しも増えるはずである。

 救いは黒星が続く中でも気持ちを切らさなかったことである。そして巻き返して千秋楽に6勝目を挙げたことに意義がある。大幅な番付降下は免れ、来場所は前頭筆頭で臨めそうだ。よって勝ち越せば一場所での三役復帰が望める。巻き返しを期待したいが、8番では物足りないので二桁勝利を求めたい。また序盤に新横綱との対戦が濃厚であり、金星を挙げれば三賞も見えてくる。三賞は過去2回しか受賞したことがなく、主役となるような活躍を期待したい。