2021年5月場所個別評価 逸ノ城

 今場所は西前頭6枚目だったが9勝6敗という成績だった。前半戦は6勝2敗で折り返した。そして後半戦も白星を重ね、11日目に勝ち越しを決めた。12日目からは役力士との対戦となったが14日目は隆の勝を叩き込みで破った。千秋楽は御嶽海に敗れ、2桁勝利とはいかなかった。また負けはしたものの12日目の貴景勝戦は押しつぶすような叩き込みでぐらつかせ、見せ場を作った。

 内容に関しては得意の左上手を取ってから前に出る相撲だけでなく、廻しにこだわらず、押して前に出る相撲もあった。復活の兆しを予感させる内容だった。特に良かったのが2日目の宝富士戦である。相手得意の左四つに組まれ、しかも頭を付けられる苦しい展開だったが2分近くの長い相撲の末、最後は相手が出てきたところを左に回り込みながらの下手出し投げで仕留めた。らしくないと言ってはしまえば失礼だがしぶとさを見せた。師匠の湊親方によると昨年11月場所後に「やり直します」と言われたらしい。そして初心に帰り、若い力士と一緒に部屋の掃除をしているようだ。また昨年10月から始まった合同稽古にも参加しているが、すべて本人の意思のようだ。言われてみると気持ちの入った相撲が多く、姿勢が土俵にも表れている。

 7月場所は西前頭2枚目となった。約2年ぶりの平幕上位となるが、勝ち越しての三役復帰を期待したい。何より一気に関脇まで上がった力士である。素質がないわけがない。あれから7年が経ったがまだ28歳である。遅くはない。また三役に関して言えば若隆景、明生が新三役となった一方、隆の勝、大栄翔が平幕に陥落した。流動的な状況だが、逸ノ城が割って入る余地は十分ある。朝乃山の出場停止も逸ノ城にとっては無関係ではない。現在は体重は200キロのようだが、これ以上増えると体の動きが鈍くなる。今のままの体重をキープした上で稽古とトレーニングで体づくりをしたいところだ。