2025年1月場所を振り返って 照ノ富士引退に関して

 フタを開けてみれば初日から波乱の土俵が続いた。照ノ富士は初日は若隆景に敗れて黒星スタートとなった。翌日からは連勝したものの4日目は翔猿に敗れて2敗目となり、5日目から休場した。その5日目終了後に現役引退の意向が報じられた。そして翌日の1月17日、日本相撲協会は照ノ富士の引退を発表し、同日の理事会で現役引退と年寄「照ノ富士」襲名を承認したと発表した。照ノ富士は襲名できる年寄名跡をこの時点では取得していないため、横綱特権(最大5年間)を行使して現役名年寄で協会に残ることとなった。横審としても引退勧告はしておらず、静観すると表明していたので、やはり体力の限界だったのだと思う。この時点では次の横綱にバトンタッチできておらず、多少の心残りはあったかもしれないが、それでも完全燃焼し、やり切ったと言える。バトンタッチの部分を除けば満身創痍の中で巡業に参加して横綱土俵入りを務めるなど、本場所に限らず役割を果たしてきた。そして2敗目を喫した時点で引退を決意したのは散り際としては見事だった。立つ鳥跡を濁さずを地で行くような決断であり、なかなかできることではない。優勝回数10回であり、今後は強い横綱として語り継がれることになる。

続く