2024年11月場所個別評価 紫雷

 今場所は西十両6枚目だったが初の二桁勝利となる10勝5敗の好成績だった。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は白星を伸ばすと13日目に勝ち越しを決めた。終盤も連勝し、10勝で場所を終えた。

 内容に関してはいつものように得意の左四つ右上手に組み止める相撲で白星を挙げていた。そして相撲が速くなったのも上を目指すにあたってはプラス材料である。今場所は十両上位の嘉陽、伯桜鵬、輝、白熊には勝っており、地力を付けているのは確かである。また本人は手応えを感じていると思っていたのだが、そうではないらしい。目指しているのはモロ差し速攻相撲であり、理想としている相撲はなかなか取れなかったようである。理想に近い相撲と言えば勝ち越しを決めた13日目の輝戦が挙げられる。押し合いの攻防から右を差すと前に出て左も差し、そのまま寄り切った。現在は二本差すことさえ厳しい状況であり、高い技術が求められる。ただ紫雷は身長177センチと背は高くなく、方向性は間違っていない。また速攻相撲が取れるようになってきており、相撲が進化しているので今後が楽しみである。

 来場所は自己最高位を更新し、東十両2枚目となった。新入幕が見える位置であり、真価が問われる。また12月で33歳となり、入幕を果たせば学生相撲出身では最も遅い入幕となる。よって記録という点でも注目となりそうだ。今場所のような相撲が取れれば新入幕の可能性は十分あるので頑張って欲しい。