2024年11月場所個別評価 千代翔馬

 今場所は東前頭14枚目であり、再入幕の場所となったが11勝4敗の好成績だった。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は白星を重ねると12日目は翠富士を押し出しで破り、幕内では一年半ぶりとなる勝ち越しを決めた。その後も白星を伸ばすと千秋楽は宇良を肩透かしで破り、幕内では自己最多となる11勝で場所を終えた。

 内容に関しては四つに組んでの動き回る相撲で白星を挙げていた。左四つが得意だが、四つ相撲が得意の割には安定感というよりも動きに活路を見出すタイプであり、勝ちだしたら止まらない一方、負け出したら止まらないタイプである。特に後半戦は立ち合いの変化など、全てが上手くいったという印象もある。それでも千秋楽の宇良戦は当たってすぐに懐に入りかけられたものの、左からの肩透かしで宇良を這わせた。何をするにしてもスピードがあり、スピードを生かせる形に持ち込めればまだまだ活躍が見込めそうだ。

 来場所は一気に番付を上げそうだが、再度の勝ち越しを期待したい。何度も腰の手術を受けており、引退を考えたこともあったようだ。しかし今場所は地道な努力が報われた格好となった。来場所勝ち越せば三役が見えてくるので、その意味では大事な場所となりそうだ。