2024年11月場所個別評価 宝富士
今場所は西前頭10枚目だったが8勝7敗で勝ち越した。連敗スタートとなったが3日目からは7連勝し、勝ち越しに王手を懸けた。しかしその後は黒星が増え、13日目に勝ち越しを決めたものの8勝止まりに終わった。
まずヒヤッとしたのが初日の玉鷲戦である。左ヒジを極められ、力なく土俵を割った。過去には玉鷲は小手投げで何人もの力士を病院送りにしており、心配された。しかしその後の相撲は左を使えており、大事には至らなかったので一安心である。
内容に関しては叩き込み、突き落とし、引き落としで2番ずつ勝っており、得意の左四つに組み止める相撲は少なかった。それでも体は動いており、今までの稽古の貯金がものを言った印象がある。特に良かったのが9日目の阿武剋戦である。当たってすぐに右を差されたものの、すかさず下がって距離を取り、右に叩いて這わせた。確かに本人が言うように本来の相撲ではないのだが、ベテランであり、技の引き出しをたくさん持っている。新鋭の若手相手に経験の違いを見せつける内容だった。
まだまだ力は健在であり、来場所も勝ち越しが期待できそうだ。そして今年は9月場所は青森県出身力士が幕内の座を守れるかが話題となった。結果は宝富士は二桁勝利、錦富士は千秋楽に勝ち越し、そして十両の尊富士は優勝し、次の場所で再入幕ということで記録継続となった。その記録は明治16年以降141年途絶えておらず、2位の茨城県の42年を大きく引き離している。以前は横綱を6人輩出するなど相撲どころとして有名だったが、現在は相撲人口自体が減っており、深刻な状況である。
そして記録は続いているものの、長い目で見た場合は安泰とは言い難い。今場所は錦富士は6勝9敗であり、辛うじて幕内の地位を守れそうである。そして尊富士は10勝を挙げたが怪我が多く、細い下半身も気になるところである。よって記録を守るためには宝富士の頑張りは不可欠であり、自分のためだけでなく、地元のためにもうひと頑張りを期待したいところだ。
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