2024年11月場所個別評価 照ノ富士

 今場所は全休となった。休場は2場所連続23度目であり、2021年9月場所の横綱昇進後では、在位20場所で12度目となった。

 10月の秋巡業は土俵入りは務める一方で取組には参加しなかった。そして糖尿病と両膝の怪我のため一時離脱もあった。福岡入り後も、相撲を取る稽古は再開できておらず、休場は必然の流れだったと言える。

 問題は相撲を取る稽古が再開できていないということである。9月場所後の動向を見た限りでは体調が上向いているようには見えない。また7月場所は低い重心からの速攻相撲で10度目の優勝を果たしたが、相撲内容の反動が糖尿病と両膝の痛みとなって表れていると言って良さそうだ。

 場所後の横綱審議委員会では引退勧告などはせず、静観する方針を示した。一人横綱であり、今横綱に辞められてしまうと横綱不在となり、横綱土俵入りもなくなる。そのことは協会幹部も、横審も、そして照ノ富士本人も自覚していると思う。ひょっとしたら土俵に上がれる力は残っていないのかもしれないが、本人としてはできることを淡々とやっていくしかないという状況である。

 しかし朗報もある。9月場所は横綱候補の大の里が優勝したことに続いて11月場所は琴櫻、豊昇龍の二大関がハイレベルな優勝争いを演じた。また三役力士は三大関より年上ということで来年の横綱誕生の可能性が高くなったと私は見ている。そして横綱が誕生すればバトンタッチができ、引退できる環境が整う。言葉は悪いが、もうしばらくの辛抱と言って良さそうだ。

 場所後の冬巡業は初日から参加しており、巡業に参加する姿勢は横綱として立派である。ただ1月場所の出場は現時点では厳しそうだ。まずは冬巡業中に相撲を取る稽古が再開できるかに注目したい。また番付発表は12月23日であり、年末年始を挟むので調整期間が長く取れる。よって体調が上向く可能性もあり、出場できるようなら出場して欲しいというのが私の考えである。