2021年3月場所個別評価 貴景勝

2021年4月25日

 今場所はカド番だったが10勝5敗という成績だった。前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は白星を伸ばし、12日目に勝ち越しを決め、カド番を脱出した。13日目からの大関戦も連勝し、千秋楽まで優勝の可能性を残したが照ノ富士に敗れ、決定戦に持ち込むことはできなかった。

 内容に関してはいつものように突き押し相撲で白星を挙げていたが体重17キロ減の166キロで臨んだのが大きな変化である。おそらく太りすぎを指摘され、減量したものと思われるが動きは太っていた時と同じだった。少し時間がかかるとは思うが減量したからには突き押しの真っ向勝負ではなく、スピードを活かした相撲に変えていきたい。また気になったのが土俵の外に出されて負けた相撲が4番あった点である。貴景勝が負ける時は大抵叩かれるか、組み止められて投げられるかのどちらかなので大きな変化である。おそらく対戦相手にとっては軽く感じたのだと思う。体重をこのままキープするのであれば叩きは一発で決めるのではなく、叩いて相手のバランスを崩した後体を寄せ、押す動きが求められる。それと同時に減量したので俵に詰まらないような相撲が必要である。イメージとしては大関に駆け上がった頃のような相手を横に向かせる相撲を期待したい。

 来場所に関しては勿論優勝を期待したい。横綱に上がるためには安定感ではなく、2場所連続優勝しかない。今場所は鶴竜が引退し、来場所は照ノ富士が大関に復帰するが貴景勝には関係ない。本人が言うように自分の相撲に集中し、結果を残すだけである。ありきたりではあるが、突き押し相撲なので前半戦の取りこぼしを少なくし、勢いに乗りたい。私は今場所でいえばカド番脱出で満足せず、その後連勝して優勝争いに絡もうとした姿勢が好きである。朝乃山と違って大関昇進後は休場も多く、安定感には欠けるが相撲に対する意識は高い。あとは何とか結果に結び付けたいところだ。