2024年9月場所個別評価 嘉陽
今場所は東十両14枚目だったが11勝4敗の好成績だった。十両2場所目となったが5連勝スタートを切り、前半戦は6勝2敗で折り返した。そして後半戦は11日目に勝ち越しを決めると14日目は優勝争いの先頭を走る尊富士を寄り倒しで破り、10勝目を挙げた。千秋楽は志摩ノ海に勝ち、11勝で場所を終えた。
内容に関しては突き・押しの相撲と二本差す相撲で白星を挙げていた。先場所は7勝8敗で一点の負け越しであり、十両残留となったが実力の高さを示した。また動きが変わっており、スピードが増した印象がある。理由は二所ノ関部屋から中村部屋に転籍し、稽古内容が変わったことである。短距離走など瞬発系のトレーニングを取り入れており、早速その成果が出た感じである。元々相撲センスは持っており、前に出るスピードが増したので持ち味である引き技もよく決まっていた。
特に良かったのが終盤の相撲である。14日目の尊富士戦は意識して沈み込むような立ち合いを見せ、二本差すとそのまま一気に寄り倒した。師匠の「中に入って出ろ」というアドバイスと中村部屋独自のトレーニングの成果と言える内容だった。しかし勝った代償は大きく、尊富士に左から上手投げを打たれた際に土俵下で右足を強打していた。そして千秋楽の志摩ノ海戦は右足を引きずりながらの土俵となった。しかし立ち合いで思い切って左へ動くと志摩ノ海の右を手繰り、後ろに付いて送り出した。右足を痛めており、勝つにはこれしかないという内容だった。また一番でも多く勝とうという貪欲な姿勢が見えた相撲であり、今後に向けて期待が持てる。
11月場所は大幅に番付が上がり、西十両3枚目となった。ひょっとしたら千秋楽の頑張りが評価されたのかもしれない。幕内が見える位置であり、上を目指したい。また中村部屋の関取は同じく十両の友風がいるが年齢は29歳であり、右膝の大怪我を負った中での土俵が続いている。よって嘉陽が中村部屋の命運を握っていると言っても過言ではない。先々は部屋頭として部屋を引っ張る存在となるので更なる出世を期待したい。
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