2024年9月場所個別評価 千代翔馬

 今場所は東十両筆頭だったが10勝5敗という成績だった。初日から7連勝し、圧倒的な強さを見せる尊富士とともに優勝争いをリードした。そして8日目は大奄美に敗れ、初黒星となった。しかし9日目の伯桜鵬戦は立ち合いで大きく右に飛んで廻しを取り、上手投げで仕留めて勝ち越しを決めた。12日目の尊富士戦は勝てば優勝争いで並ぶという大事な一番だったが張り手を読まれ、組み止められると一気に寄り切られた。終盤は連敗し、やや失速して場所を終えた。

 内容に関しては肩透かしで3番、投げ技で4番勝っており、前に出てからの引き技や投げ技、そして横への動きで白星を挙げていた。先場所前は腰の手術を受け、5日目までは休場していたが、一昨年の12月から腰の手術を3度受けている。よって横への動きは速いが、前に出る相撲は厳しそうである。それでも十両に下がればスピードは上位であり、やはり十両で相撲を取る力士ではない。

 11月場所は2場所ぶりの入幕となるが、勝ち越しを目標としたい。前に出る相撲が少ない一方、相手をさばく動きに関しては引き出しをたくさん持っており、今場所のような引き出しを生かせる相撲を取りたい。また先述の尊富士戦のように作戦が読まれることも時々あり、自分がどう動くかではなく、相手がどう動くかを想定しながら相撲を取って欲しいところだ。