2024年9月場所個別評価 大栄翔

 今場所は小結だったが8勝7敗で勝ち越した。連敗スタートとなったが5日目からは4連勝し、前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は9日目から連敗したもののその後は連勝し、13日目に勝ち越しを決めた。

 内容に関してはいつものように力強い突き押し相撲で白星を挙げていた。ただ一気に押し切れない相撲もあり、引く相撲で2番勝つなど、馬力が少しだけ落ちてきている印象がある。また今場所は平幕相手に4敗しており、その部分だけを見れば勝ち越せたこと自体が驚きである。それでも役力士相手には3人に勝っており、特に11日目に琴櫻に勝ったことが大きかった。相撲は琴櫻に押し込まれたものの残すと押し合いの攻防となったが最後は右ハズで琴櫻の上体を起こすとそのまま押し出した。これで対琴櫻戦は3連勝となった。30歳だが稽古十分であり、その成果を発揮した。本人も気分を良くしたのだろう。翌日からは錦木、高安といずれも平幕下位の好調力士をぶつけられたものの、自分の相撲を取って勝ち、役力士として存在感を見せた。

 あとは繰り返しになってしまうが馬力が少し落ちており、横への動きに活路を見出そうとしているのはよく分かる。私としてはそれに加えて相手に引かせる相撲をもっと追求して欲しいと思っている。今場所でいえば平戸海戦、錦木戦、高安戦が当てはまる。普段の稽古の中でタイミングを計りながら上手く懐に入れればもう少し白星を増やせると見ている。

 11月場所は2場所連続小結で勝ち越しており、濃厚とまでは言わないが関脇復帰が有力である。まだまだ地力があるので勝ち越しても8番ではやや物足りない。今度こそは二桁勝って大関昇進への足掛かりを作りたい。場所初日に31歳となるが、優勝争いに絡むくらいの活躍を私としては期待している。