2024年9月場所個別評価 照ノ富士

 今場所は全休した。休場は今年5月場所以来2場所ぶり通算22度目となった。また横綱昇進後は在位19場所目で11度目となった。7月場所後の8月23日の夏巡業で稽古中に左膝を痛め、取組から外れた。その後は巡業には参加したものの取組からは外れていた。また稽古できないということで糖尿病となり、体重が10キロ以上減ったようだ。結局番付発表後も調子が上がらず、休場が決まった。場所後の横綱審議委員会では山内委員長は、秋巡業への参加意向など復帰への意欲と責任感を評価し「見守っていきたい」と静観する姿勢を示した。

 確かに7月場所は低い重心から鋭く踏み込んでの速攻相撲が光り、10度目の優勝を果たした。しかし私的には優勝回数10回は素晴らしいものの、7月場所のような相撲が続けて取れるのか?という疑問が残った。低い重心からの速い相撲は理想である。ただ満身創痍なので巡業中に7月場所の疲れの反動が出たものと思われる。横綱昇進直後は連覇を果たしているものの、それ以降は連続優勝はなく、休場は想定の範囲内と言える。

 秋巡業は参加しており、巡業期間中にどこまで体調を戻してくるかがポイントとなりそうだ。ただ横綱昇進後は2場所ぶりに優勝したという実績はなく、回復には時間がかかるのではないかと私は予想している。よって11月場所も休場の可能性が高いと見ている。

 横綱にとっての朗報は大の里が優勝し、大関に昇進したことである。先の事は分からないが大の里が横綱まで一気に駆け上がる可能性もあり、そうなれば大の里にバトンタッチができる。また現在は一人横綱であり、辞めたくても辞められない状況である。そして無理を押して土俵に上がっているという部分は今場所引退した元大関貴景勝と同じであり、無理はしてほしくない。ということで引退のタイミングは大の里次第となりそうである。そして大の里が横綱に上がるまでは引き続き土俵に上がるための努力を続けていくしかない。