2021年1月場所個別評価 志摩ノ海

 今場所は9勝6敗だった。押し相撲力士らしく連勝後に連敗という星の並びとなったが14日目に勝ち越しを決めた。そして千秋楽も勝ち、9勝で場所を終えた。

 内容に関しては頭を低くしてじわじわ前に出る押し相撲で白星を挙げていた。去年の11月場所は敢闘賞を受賞したが31歳という年齢もあり、勢いは感じられなかった。それよりも愚直に自分の相撲を貫き、白星に結び付けていた。やはり去年の11月場所に優勝争いをした経験が生きている。上位力士と対戦したことで自信を持って相撲を取っているように見えた。

 好内容だったのは終盤の2日間である。14日目の阿武咲戦は押し合いから左上手を取り、相手の動きを止めて寄り切った。普段は上手を取りに行くことはないのでよく考えた取り口だったと思う。千秋楽の宝富士戦は突き押しで攻めるも攻防の中で右下手を取られ、苦しい体勢になった。しかし頭を付け、左から強烈におっつけると右もおっつけ、一気に寄り倒した。やはり相手の動きを止めれば力を発揮できるタイプである。

 3月場所は一気に番付を上げ、西前頭3枚目となり、自己最高位となった。初の上位力士総当たりの番付である。どれくらい相撲が取れるかに注目したい。スピードのある力士ではないので相手の動きを止めてから持ち味を生かしたいところだ。