2021年1月場所を振り返って 雑感

 また触れなければならないのは新型コロナウイルスの影響で横綱白鵬など関取16人を含む65力士が初日から休場したことである。特に十両は9人が休場し、19人となったのでほぼ総当たりとなる異例の事態となった。結局陽性者が出た部屋の力士、親方、行司などの裏方さん全てが初日から休場し、感染拡大の封じ込めを図った。場所の中止も考えられたが場所が始まってからは感染者は出なかったので無事に完走はできた。ただ興行面があるとはいえ、緊急事態宣言が発令されている中で観客を入れて開催したのは少し疑問が残る。場所前に序二段力士がコロナ感染したくないので休場したいと師匠に伝えるも受け入れられず、引退したことが話題になった。これは少し極端な例かもしれないが、心の中では休場したい力士も多数いたのではないかという想像はできる。なぜなら基礎疾患を抱えている力士が多いからである。去年の5月には三段目の勝武士が新型コロナウイルス性肺炎による多臓器不全のため死去している。心なしか力士の表情を見ても元気がなさそうに見えたのは気のせいだろうか?。土俵全体も何となく重苦しい雰囲気が漂っていた感じがする。力士の気持ちを考えると私はいつも程は相撲を観たいというモチベーションは上がらなかった。場所が終わっても今場所は無理して開催しなくても良かったのではないかと今でも思っている。勿論大栄翔の初優勝は喜ばしいことなのだが。

 三賞は殊勲賞の大栄翔以外は千秋楽に勝てば受賞という異例と言える状況になった。結局千秋楽に勝って優勝した大栄翔が3回目の殊勲賞と初の技能賞を受賞した。また千秋楽に勝ち、11勝を挙げた関脇照ノ富士が3回目の技能賞を受賞した。そして同じく千秋楽に勝ち、9勝目を挙げた新入幕の翠富士が初となる技能賞を受賞した。ちなみに技能賞3人は史上初めてである。一方勝てば敢闘賞受賞だった琴ノ若と明瀬山はともに千秋楽に敗れ、初の三賞受賞を逃した。十両は大栄翔と同じ追手風部屋の剣翔が12勝3敗という成績で優勝し、3月場所の幕内復帰が濃厚となった。また同部屋の大翔丸も11勝を挙げ、十両でも追手風部屋の力士の活躍が目立った。