2024年7月場所個別評価 霧島

 今場所は二桁勝てば大関に復帰できたが8勝7敗に終わり、一場所での大関復帰は成らなかった。3連勝スタートも4日目からは3連敗し、前半戦は4勝4敗で折り返した。この時点で大関復帰に向けてはあと一つしか負けられず、苦しい星勘定となった。そして後半戦は13日目に隆の勝に敗れて6敗目となり、一場所での大関復帰が消滅した。千秋楽は玉鷲に勝ち、関脇の座は維持した。

 場所前は精力的に稽古していたようだが結果は出なかった。痛めていた首は回復し、頭から当たれていた。しかしパワー不足は明らかであり、決まり手を見ても組み止めて勝つ相撲がほとんどで、押し出して勝った相撲は1番もなかった。本人は懸命に相撲を取ったのだろうが、大関昇進や綱取りの頃と比べても明らかに物足りない。また今場所は役力士相手には琴櫻にしか勝っておらず、内容も一方的に押し出される相撲が多かった。少なくとも今場所のような相撲内容では馬力が戻ったとしても大関復帰は無理である。

 大関復帰へのポイントは馬力が戻った上で一気に前に出て押し出す相撲が増えることである。問題は今場所の相撲内容からどれだけ上積みできるかである。また年齢は28歳であり、大関復帰に向けては一からやり直しになるものの、来場所は非常に大事な場所となりそうだ。試金石と言ってもいいかもしれない。結果だけでなく、他の三役力士を圧倒するなど、内容も求められる。

 ということで9月場所はまずは二桁勝利を挙げ、大関復帰への起点を作りたい。力を戻すだけでなく、大の里や平戸海などの若手力士に勝つことも求められる。大関にいた頃とは状況が変わってきており、大関復帰は簡単なことではない。しかし大関時代は優勝して綱取りに臨んでおり、その実力や実績は誰もが認めるところである。私としては大関に上がる頃のような一気に押し出す相撲を期待したい。