2024年7月場所を振り返って 十両の優勝争い 千秋楽 獅司ー伯桜鵬戦 

 千秋楽。3敗の2人の直接対決は終わっており、獅司は4敗の伯桜鵬戦が、そして白熊は時疾風戦が組まれた。

 先に獅司が土俵に上がった。対戦相手は伯桜鵬である。伯桜鵬は去年の7月場所は新入幕で千秋楽まで優勝争いに絡む活躍をしており、若手ながら実績がある。また今場所は前半は調子が上がらなかったが直近は3連勝しており、獅司にとっては嫌な対戦相手となった。

 相撲は立ち合いから獅司がすぐに右前廻しを取ると左も差し、一気に前に出た。しかし伯桜鵬は右上手を取ると土俵際で右のかかとを俵に乗せ、右から振り回すと獅司の体が裏返り、見事なうっちゃりが決まった。物言いが付いたが伯桜鵬の右のかかとは残っており、軍配通り伯桜鵬の勝ちとなった。

 勝った伯桜鵬は流石の動きを見せた。右前廻しを取られたものの、右上手を取って右へ動き、極力相手に力を出させない動きをした。そして獅司が前に出てくるのを見計らったようにしてうっちゃりを決めた。まるで前廻しを取られた瞬間からシナリオを作ったかのような動きだった。このあたりは相撲センスであり、誰でもできることではない。やはり騒がれるだけの力士である。

 一方負けた獅司は右前廻し狙いまでは良かった。しかし結果論になってしまうが、その後は落ち着いて攻めて欲しかった。一気に攻めたものの、結果として伯桜鵬の動きに乗せられる形となった。右前廻しを取った以上、伯桜鵬にとっての勝ち筋はうっちゃりしかなく、相手の動きを見抜いた上での攻めが必要だった。このあたりは反省点であり、今後の課題である。入幕に向けてはあと一歩といったところだ。それはともかく、獅司は優勝に向けて非常に痛い4敗目となった。一方伯桜鵬は4敗を守り、優勝の可能性を残した。これで白熊が勝てば白熊の優勝となり、負ければ3人による優勝決定戦となった。

続く