2024年7月場所を振り返って 十両の優勝争い 14日目 時疾風ー獅司戦 白熊ー阿武剋戦

 面白かったのが十両の優勝争いである。12日目終了時点では3敗で白熊,獅司、島津海の3人が並んでいた。しかし13日目は島津海が敗れ、3敗は白熊と獅司の2人となった。ともに入幕経験はなく、番付は白熊が東8枚目、そして獅司が東10枚目ということで下位の番付であり、終盤は上位の力士との対戦となる。14日目は獅司は時疾風戦が、そして白熊は阿武剋戦が組まれた。

 先に土俵に上がったのは獅司である。対戦相手の時疾風は先場所は新入幕であり、今場所は東十両筆頭である。またここまで7勝6敗であり、あと一つ勝てば勝ち越しとなり、再入幕がほぼ決まる。ということで両者ともに負けられない一番となった。

 相撲は立ち合いで時疾風が右へ動き、右上手を取り、左四つになったので時疾風が有利な形を作ったように見えた。しかし獅司は左下手を取って相手の右上手を切ると前に圧力を掛け、時疾風が右から小手投げに来たところを落ち着いて腰を下ろしながら寄り切った。得意の右四つには組めなかったものの、対応できたあたりは力が付いている証である。3敗を守り、優勝へ一歩近づいた。

 続いて白熊が土俵に上がった。対戦相手の阿武剋は先場所は新十両ながら13勝を挙げており、今場所も西十両筆頭で8勝5敗と勝ち越している。私的には阿武剋に勝つのは厳しいと見ていた。相撲は阿武剋のぶちかましを白熊が受け止めると押し返し、前に出ながら右を差して一気に寄り切った。白熊としては長い相撲になっては分が悪いと思ったのだろう。早い勝負に持ち込んだことが吉と出た。一方阿武剋は白熊が一気に前に出てくるとは思っておらず、対応できなかった。しかし私としても白熊は時間をかけて右四つに組み止めてから勝つというイメージがあり、この結果には正直驚いた。白熊も3敗を守り、並走のまま千秋楽を迎えた。そして星一つの差で伯桜鵬が追走しており、優勝争いは3人に絞られた。

続く