琴恵光引退に関して 部屋の紹介

 1965年1月場所から完全部屋別総当たり制が導入されたが、その時点で幕内力士を出していた部屋の中で唯一、現在まで幕内力士を絶やしたことがない。所属力士は「琴」という一字が前に付けられた四股名を名乗り、呼出の名前もまた同じである。先代佐渡ヶ嶽親方によると、「琴という字は今に王になるという意味」のようである。ただこれは1975年あたりからであり、それ以前は長谷川のように本名を名乗る力士や「琴」の付かない力士も多く存在していた。

 佐渡ヶ嶽部屋は元大関以上であれば分家独立できる。また二代目琴錦は引退後に元琴風が師匠の尾車部屋に身を寄せた後、朝日山部屋を創設し、伊勢ヶ浜一門へ移籍した。そして今年8月に元琴奨菊の秀ノ山親方が独立する予定である。

 力士数は2024年7月場所現在で23人であり、大部屋である。また幕内力士を絶やしていないだけでなく、どの位置にも力士がいるというイメージがある。部屋の中での競争は激しく、本場所以前に部屋で生き残るのが大変である。そして競争の中で生き残った力士が関取になる。また素質に恵まれた力士だけでなく、時に苦労人と言われる力士が十両に上がることもある。学生相撲出身者は琴光喜はいるものの、基本的には採らない。中卒や高卒の叩き上げが中心である。

 現在関取は二人である。琴櫻は初優勝ともう一つ上を目指して、そして琴勝峰は三役を目指して奮闘している。

 関取予備軍の幕下には現在6人がいる。そのうち琴裕将は元十両であり、関取復帰が望まれる。若手期待のホープとしては琴手計と琴拳龍がいる。琴手計は琴勝峰の弟である。先場所は東幕下2枚目で負け越したが、十両まであと一歩のところまで来ている。琴拳龍はモンゴル出身で有望株だが、引く相撲が多いのが気になる。前に出る相撲を取れるかが今後を左右しそうである。また琴太豪は三段目に番付を下げているが関取目前でチャンスを逃している。年齢は31歳であり、何とか関取の座を掴みたい。

続く